5年ほど前からお取引をいただいている関西方面にある製造業の会社で、私が行くといつも社長さんと若い部下の2名で出てこられます。で、その社長さんが昭和時代にいたタイプで、自分の部下に対して超・超きびしい人なのです。

「お前は何をやっとるんや!そんなことやから、あかんのや!」
「確認したんか!?そんなんや確認したことにならへん!ちゃんとやれ!」

ってな具合で大声をだし、しかも(部外者である)私の前でも平気なのです。

ところがですね…。この部下の方、最初にあってから5年経った今でも変わらずに勤めているのです。普通だったら、たとえどんなに給料や他の条件が良くても辞めているでしょう。「パワハラ」とか、「言葉の暴力」とかで訴える人だっているかも知れません。でもこの方は、それどころか本当に社長さんのことを尊敬し、怒鳴られながらも一生懸命に社長さんのもとで働いている様子なのです。

実は社長さんは怖く見えるけど本当はとても心が優しい人で、部下の方もそれを見抜いているのかも知れません。あるいは今のうちに厳しく指導されていることが自分にとって将来プラスになるとわかっているのかも知れません。

最近は色々なことが報道され、法律的にも厳しくなり、こんな怖い上司は姿を消しました。また、こんなに忍耐強い部下もいなくなりました。それには私も賛成ですし、世の中がよい方向に行っているのだとは思う反面、ふと昭和的な厳しい教育、部下の育て方がこのまま消えてしまっていいのかと考えることがあります。