もう20年以上も前に料理屋で聞いた話です。東京の料亭は有名店や老舗を含め大半が料理を外注しているということです。中には厨房すらない料亭もあるそうです。料亭なのに料理人は一人もいないというわけです。良い言い方をすると分業、いやアウトソーシングでしょう。
バブル崩壊やリーマンショックを経て、企業接待が大幅に減少した上、政治家などもスキャンダルを恐れて料亭接待を大きく減らしていることは想像に難くありません。すると当然、高級料亭といえどもコスト削減に努めなくては生き残れないのです。そこで一番コスト、正確には固定費がかかる料理人雇用、厨房設備の投資をアウトソーシングしているというわけです。これならお客さんが入った時のみコストが発生するので非常に効率的です。
しかし今思えば、そのおかげで新型コロナという未曾有の危機も乗り越えたわけですね。反対にすべてを自前でやっていたところは厳しかったでしょう。
今後も同様です。不確実性の高い将来のためにも、常にコスト削減に努めなくてはならないのは、業種を問わず同じだと思います。