普段は意識することもありませんが、日本語は主語を省く言葉なのです。

例えば渋谷に行くことと、そこでラーメンを食べることを伝えるのに、英語ならこう言います。

「I go to Shibuya.」
「I eat ramen there.」

これが日本語なら、

「渋谷に行きます。」
「そこでラーメンを食べます。」

と言うのが一般的でしょう。これに主語を入れて、

「私は渋谷に行きます。」
「私はそこでラーメンを食べます。」

と口頭で言ってしまうと、ぎこちない感じがしますね。特に日常会話でそんな言い方をする人はいません。ほぼ確実に主語が省かれます。

ところがですね…。
翻訳者が英語を日本語化する際は、必ずと言っていいほど「私は」を入れてしまいます。一つでも勝手に省くと「訳が漏れている!」と怒られることがあるからです。また日本語を学びたての人も、「私は渋谷に行きます。」と言うことが多いと思います。これも英語をそのまま日本語にするためです。

日本語から主語が省かれる理由については諸説あるので置いておいて、やはり色々な文章で主語が省かれるのが一般的です。同じ1ページの文章で主語の数を比較すると、英語が30あるのに日本語は1つ、2つということも珍しくありません。

英語から日本語に訳す時は、より自然な日本語にするために主語を極力省くのも一つの手なのです。