「Anywhereな人たち、Somewhereな人たち」という表現は、英国がEUを離脱した問題について書かれた本*に登場した表現ですが、米国、日本を含む色々な国の現状にも当てはまる言葉です。(*The Road to Somewhere, David Goodhart 2017)

Anywhereな人たちというのはグローバルな発想を持っている人たちで、どこに行っても生きられる人たちのことを言います。日本について考えると、今住んでいる地理的な場所のみに限定して考えるのではなく、他の地方のことや、他の国のことも考える人たちのことを言います。世界市民という考えを持っていて、今のグローバル社会、ボーダレスワールドのことを理解しています。違う都市に引っ越すことや国外に引っ越すことも可能なはずです。

一方、Somewhereな人たちというのはその正反対です。自分が今住んでいる限られた場所のことしか考になく、自国のみで独立、自給自足して生活できると思い込んでいる傾向があります。こういう人はボーダレスワールドに対してアレルギー反応を起こすこともあります。

他国からの移民を締め出すという考え方、他国からの輸入に高い関税をかけるという考え方などは「Somewhere」の典型例でしょう。インバウンド観光客を毛嫌いする人たち、「ここは日本だ!」と意味不明の主張をする人たちもこの例です。

今の時代、絶対に自国だけで生き抜くことはできません。資源だけでなく、技術、文化、労働力もグローバルレベルで相互依存しているのが現状です。

今、身の回りにあるもので、自国だけで作られたものがいくつありますか?

日本ではパスポートの所有者が17%*まで落ち込こんでいるそうです。またコロナ後にインバウンドは回復したものの、アウトバウンド、つまり日本から海外に出る人は元の水準に戻っていません(*外務省統計)

グローバル化の時代に逆行し、日本では多くの人が内向きになっています。

この現状を変え、Anywhereな発想、Anywhereな人たちを増やすのが私たちの大事な務めだと思います。