先日、同年代の友人と飲みながら、そんな話で盛り上がりました。私が日本の大企業に勤めていた頃、人事部に呼び出されて行くことを、なぜかみんな「出頭する」と言っていたのです。
この「出頭する」という言葉を使うのは、私がいた会社では人事部に対してだけでした。例えば、審査部に行ったり総務部に行ったりする場合は、単に「行く」であって、「出頭する」ではないのです。
この「出頭する」という言葉は、日本語としては裁判所や警察に行くときに主に使われる言葉ですね。役所に行くことをそう表現する場合もあります。
語源については私の想像ですが、おそらく江戸時代あたりに幕府などへ出向くときに使われていた言葉ではないでしょうか。当時、幕府はまさに「お上」であり、自分より身分も立場もはるかに上の存在だったはずです。
警察や裁判所に行くときに「出頭する」と言うのも、その名残なのでしょう。役所に対しても、昔の人は同じような感覚を持っていたのかもしれません。
そして、人事部に「出頭する」。つまり、その会社の中では人事部が自分たちよりはるかに上の立場にあり、自分たちを支配する存在であると感じられていたわけです。それがこの言葉に表れていたのでしょう。
実際、その通りの面もありました。人事部が自分の将来について大きな決定権を持ち、その人が60歳で定年退職するまで、つまり人生の大部分に関わることを決めていたわけです。私は、そうした体制や考え方が大嫌いでした。
時代が変わり、価値観も変わってきました。しかし、今でもこうした体質が残っている会社はあるはずです。
日本が大きく改革しなければならないことは多いですが、こうした点も今一度見直されるべきではないでしょうか。
