確か、私がまだ小学生か中学生の頃だったと思います。

建設会社に勤めていた父の友人が、父に向かって話していたことを、私は横で聞いていて今でも鮮明に覚えています。

その人の家では、子どもたちがテレビのチャンネル争いばかりしていたそうです。それを見かねて、ついに一人一台ずつテレビを買い与え、それぞれの子ども部屋に置いたという話でした。

ところが、しばらくして気づいたのは、家族全体のコミュニケーションが極端に減ってしまったということでした。

当時の私でも、「なるほどな。」と妙に納得した記憶があります。

そして今の時代。

道具はテレビからスマホへと変わりましたが、話の本質はまったく同じでしょう。

子どもを3人持つ友人に聞いても、やはり一人一台スマホを持っていて、食事中を含め、朝から晩まで四六時中スマホを握りしめているそうです。

たまに家族5人で出かけても同じです。移動中の電車の中でも、家族同士で会話を交わすことはほとんどなく、それぞれが自分のスマホと向き合っています。せっかく旅行先で一緒に食事をしていても同じだそうです。

確かに、そんな光景は今やどこでも見かけます。

家族同士だけではありません。友人同士でも、恋人同士でも、カフェやレストランで会話をしながら、お互いスマホを見ている姿は珍しくありません。

私は別にスマホそのものを否定したいわけではありません。スマホを通じて友人や家族、仕事相手とコミュニケーションを取っているのであれば、それはそれで良いことです。単に、昔の電話や対面のコミュニケーションの道具が変化しただけとも言えます。

しかし、現実には必ずしもそうではありません。家族と話すより、YouTubeを見ているほうが面白いと感じる子どもたちも増えているのでしょう。

その結果、人との会話や人付き合いが苦手な人が増えているのも事実だと思います。

家庭でも学校でも職場でも、スマホそのものを禁止する必要はありません。しかし、例えば食事中や決められた時間だけは、「絶対にスマホを触らない」というルールを作ってみるのも良いのかもしれません。