今でも時々、「国産AI」に関するニュースを目にします。

アメリカや中国が圧倒的な勢いで世界最先端を走っている中、日本も負けていられない、「追いつけ、追い越せ」と考えるのは、ある意味当然なのかもしれません。もちろん、日本は多くの工業製品で世界最高品質を誇っていますし、農産物や食品も世界的に高く評価されています。

しかし、だからといって、必ずしもすべての分野で日本が世界トップを狙う必要があるわけではないはずです。

IT分野で考えてみると、今さら「国産Windowsを作ろう」とか、「国産iPhoneを作ろう」とかの話は聞きませんし、「国産SNS」「国産検索エンジン」も聞くことはありません。

理由は単純で、今から真正面で勝負しても勝てる可能性が極めて低いからです。莫大な資金を投じたところで、淘汰される未来が見えてしまいます。

「国産のほうが安心だ」という気持ちも分かります。しかし、Windows、iPhone、Google、SNSなど、海外製サービスがこれだけ日本社会に浸透している中で、今さらAIだけを「国産でなければ」と言うのも、少し現実離れしている気がします。

さらに、予算規模を見ても、その差は圧倒的です。

昨年、日本政府はAI分野に1兆円規模の投資を行うと発表しました。もちろん大きな金額ではありますが、一方で米国では100兆円規模のプロジェクトが動いています。例えるなら、1万円のお小遣いを持っている相手に対して、100円で勝負を挑むようなものです。

それならば、今さら莫大な資金を投じてAIそのものをゼロから開発するよりも、世界最先端のAIを他国以上に上手く使いこなすこと、あるいは日本ならではの別の強みを発展させることに力を注ぐべきではないでしょうか。