友人が高級外車を購入する際に相談を受けました。別に私自身が車に詳しいわけではありませんが、長年ビジネスをやっているので、相場を考えたり値段交渉をしたりすることには慣れています。また、自動車関係の友人も複数いるので、ネットには出ていない情報を少しは入手できるのです。

その友人が購入したいという高級車は欧州のものです。今の経済状況を考えると、原油価格は1年前と比べて50%上昇し、ユーロも25%程度高くなっています。さらに欧州では材料費や人件費も急騰しています。なので当然、車両価格も昨年対比で20〜30%くらいは軽く値上げされていると想像していました。

が、しかし!

予想に反し、定価はわずか1%程度しか上昇していませんでした。その代わり……なのか、値引きは一切できないとのことでした。

それを聞いて少し不思議に思い外車ディーラーをやっている別の友人に聞いてみたところ、その方法が今後は主流になりそうだとのことでした。

友人いわく、今の日本経済を考えると輸入会社も販売会社も大幅な値上げはしにくいのだそうです。もしコスト上昇をそのまま反映して定価自体が3割高になってしまうと、値引き交渉以前に、そもそも日本のお客さんが見向きもしなくなる可能性があります。

そこで定価はできるだけ抑え、とにかく問い合わせだけはしてもらうという戦略です。その上で、これまでのような大幅値引きを行わなければ、最終的に利益を確保できます。こうした手法を「値締め」と呼ぶそうです。

価格を上げるか、値引きを減らすか。やっていることは同じ利益確保でも、お客様の心理は大きく異なります。商品そのものだけでなく、価格の見せ方もまた重要な戦略なのだと改めて感じました。

こんな時こそ、戦略の立て方がものを言うのかもしれません。