そんな面白い話を、数年前にベストセラーになったビジネス書『スキー場は夏に儲けろ!』の著者である和田寛社長から、直接うかがいました。和田社長は、夏にはほとんどお客様が来なかったスキー場を大きく変え、今では夏の方が冬よりも客数、売上ともに多くなったという実績を持つ方です。

話によると、自社だけでできることには限界があるため、積極的に他社の力を借りることが大切なのだそうです。

例えば、このスキー場にある山頂の広いスペースを活かし、絶景を眺めながら、おいしいコーヒーやサンドイッチを楽しめる場所を作りたいと考えたそうです。しかし、当然ながらスキー場の運営会社には、フードサービスのノウハウがありません。そこで、東京で人気のベーカリーカフェに声をかけ、難しい交渉を重ねたあげく、出店してもらうことに成功しました。その後も、さまざまな企業や事業者と組み、おいしいスコーンを提供する店、キャンプチェアなどのアウトドア用品、乗馬サービスなどを次々と導入し、夏のスキー場の魅力を大幅に高めていったそうです。

「人のふんどしで相撲を取る」という言葉は、通常、他力本願で自分では何もしないという悪い意味で使われます。しかし、ビジネスでは、外部と上手にコラボレーションし、自社だけでは持てない力を取り込むという、前向きな意味にも捉えることができます。

考えてみれば、中小企業はもちろん、巨大企業であっても、自社だけでゼロから百まですべてを賄っているわけではありません。Appleも多くの企業から部品を調達していますし、トヨタもタイヤまですべて自社で作っているわけではありません。

当たり前と言えば当たり前の話ですが、いかに他社の力を上手に活用できるかが、ビジネスを大きく成長させるための重要なポイントなのだと思いました。