「Employee of the Month」という言葉を、アメリカでは時々見かけます。

大企業にもありますし、従業員が数名程度の小さなお店でも採用されていることがあります。意味としては文字通り「今月の従業員」。つまり、その月に最も活躍した従業員の名前や写真を掲示し、簡単な表彰をする制度です。当然、社員のモチベーションを高めることが目的なのでしょう。

ところがですね…。

この制度、日本的に見て私は以前から何となく違和感がありました。なぜだろうと自分なりに考えてみたところ、二つの理由に気づきました。

一つ目はEmployeeつまり従業員という考え方です。

雇用主がいて、その下に従業員がいるという、はっきりとした関係が前提になっています。もちろん組織である以上、どこの国でも役職や上下関係があるのは当然です。しかし日本の場合、それをあまり表に出さないほうが良いという感覚もあるように思います。経営者や社長も含め、全員が同じ会社で働くチームメンバーであり、あからさまに従属関係を感じさせる表現は好まれない傾向があるのではないでしょうか。

二つ目は、「一人だけを表彰する」という考え方です。

日本の企業では、個人よりもチームとして仕事を進めることを重視する傾向があります。当然、その中には大活躍する人もいれば、そうでない人もいるでしょう。しかし、お互いにカバーしながらチームとして成果を上げるのであれば、その成果もチーム全体のものと考えるほうが日本的なのかもしれません。

もちろん私は、一人ひとりの能力を高めたり、頑張った人を正当に評価したりする意味でも、個人を表彰する制度自体は良いものだと思います。それでも「今月はあなたが一番!」と一人だけを選んで大々的に表彰する方法は、長年培われてきた日本の企業文化には馴染みにくいところがあるような気がします。

アメリカで普通に行われている制度をそのまま日本に持ってくればうまくいくとは限りません。こんなところにも、企業文化の違いが表れているのではないでしょうか。