近所にあったこだわりの蕎麦屋さんが1年で閉店した話を聞いて、以前何かで読んだ脱サラの話を思い出しました。特にこの10年でありがちな話です。

60歳や65歳で大企業を定年退職し、退職金でかなりまとまったお金を手にします。しかし65歳なら今の時代、まだ働き盛りです。しかも大企業で定年まで活躍した人ならビジネスマンとして十分な自信があるに違いありません。一人でもやっていけると思ってしまいます。そして自分が昔からやりたいと思っていた蕎麦屋やこだわりの居酒屋、喫茶店などを開店するのはいいのですが…。

当然、飲食店経営のノウハウがあるわけではありません。これまで大企業でトップ営業マンだったり、店舗開発をしたり、新事業の立ち上げを経験したりしていると、飲食店だって一人で出来るような気になってしまいます。しかし大企業の名刺を持ってやることと、一個人としてやることは全く違うのです。大企業を辞めて初めて自分の力は実は会社の力だったということに気づく人が多々います。

一方、大企業の中で厳しい競争に勝ち残ってきた人なら別の仕事を初めても成功する人が多いのも事実です。ただ、0からスタートするのと大企業の名刺で仕事をするのとは全く別のものだということをキッチリ認識しておかないと、大変な計算違いをすることになってしまいます。

一つの大企業で35年、40年務めた人が全く別のことを始めるのは、想像以上の苦労が伴うことを覚悟しておくことが大切です。