もう20年、いや30年も前の話です。
残念ながら今でも文化として残っていますが、当時は今以上に遅くまで残業しているのが良いという風潮がありました。「あの部署は全員が毎日終電だ。頑張っているな。」「君は毎日遅くまで頑張っているな。偉いぞ。」という具合です。同じ仕事の内容なら、効率よく終わらせて5時に帰る人よりも、ダラダラと長引かせて終電で帰る人が「エライ!」とされていたわけです。
当時はそんな風潮が強い中、私が知っているある部長さんは時代の先端を走っていて、仕事を徹底的に効率化し、同じ量なら早く片付けて早く帰れる人を「エライ!」とするように決めていたのです。そして部署全体で頑張って効率化を徹底し、早く帰るようにしたところ…上層部から、「君の部署は帰りが早いな。ヒマなのか?」と言われ、憤慨したということでした。当時の日本企業では「あるある」な話だったと思います。
いや、当時だけではありません。今でもほとんど同じです。いまだに「遅かろう、良かろう。」という人がいるのは信じられません。あれから30年経ち、IT化が進み、あらゆるものがコンピューター化され、ネット化され、今やAI化されるという時代です。日本も世界に先駆けて導入を進めたはずです。それなのに多数の大企業では人員数が減っておらず、帰る時間も変わっていないのは一体どういうことでしょうか?
日本の生産性を本当に向上させるのであれば、助成金など小手先の政策だけではどうしようもないことは明白だと思います。