欧米の会社と取引を始める前に、ほぼ毎回と言えるほど締結しているのがこの守秘義務契約、通称「NDA(Non Disclosure Agreement)」です。日本の会社とこれを締結するのは5社に1社くらいのような気がします。
NDAはあくまで「お互いに企業秘密を守りましょう」という内容なので、金額的な縛りは全くありません。日本の場合はNDAがなくても秘密を守ることがビジネスの常識なので、あえて締結する必要がないのかも知れませんが、多民族国家であり契約社会であるアメリカの場合は、「常識だから」という考えは通用せず、これが必須ともいえます。
実は、私たちにとってこのNDAは守秘義務以外にも別の効果があると思っています。
それは(金銭授受が発生する)正式な取引前にこれを結ぶことによって、お互いにある程度のビジネス関係が出来上がることです。これを交わすからには、お互いに登記上の住所や登記番号、代表者名などを交換する必要があるからです。
特に今の時代は電子式のNDAが一般的なので、欧米の場合なら代表者同士が電子署名を交わすことになります。当然、代表者のEメールアドレスもお互いに交換するわけなので、これだけである程度の信頼関係が出来上がるというものです。
つまり、この段階で怪しい会社ならメールのやり取りが中断することになります。詐欺的な内容であったり、末端の人が上司に無断で勝手に比較や調査などの目的で問い合わせをしてるというケースなら、「NDAを交わしましょう。」という段階で排除できます。それにより、それ以降の無駄なやり取りを防ぐことができ、見込みが薄い先や詐欺などをある程度フィルターすることができるのです。
私は元々NDAは(面倒なので)否定的だったのですが、最近では電子式のNDAで簡単に締結が出来るようになったこともあり、積極的に活用しています。