日本の大企業で偉い人が着任した時にありがちなスピーチです。

「何の能力もない私ですが、前任者の方針を踏襲し…みなさまから色々とご教示いただき…ご支持をいただきながら…何卒よろしくお願い申し上げます。」という具合です。偉い人なのだから実は能力が高いことは間違いないハズです。でもそれを自慢せず、謙遜するのが良いといわれます。日本ではスピーチの模範的な例と言えるでしょう。

もちろん、これを英語に直訳し欧米でやったら、即アウトです。額面通りに取られて、

「そうか。この人は何の能力もない人なのか」
「前任者を踏襲するのなら、この人になった意味がないじゃないか」
「能力がなく、新しいことが何もできないなのか」
「なぜ私たちが教えなきゃいけないんだ?逆だろ?」

と思われるのがオチです。こんな人にはついていけないと思って辞める人がいるかも知れません。

欧米にだって謙遜する文化はありますし、言葉には表の意味と裏の意味があることもあります。しかし日本とは内容が違います。

日本と同じにやったらダメなのは当たり前です。文化の違いをすべて理解するのは至難の業ですが、最低でも自分の立場に応じて必要なことくらいは理解しておくことは必須です。