一般的に日本で教育を受けた人よりも米国で教育を受けた人の方が大勢の前で話したりセミナーや会議などでプレゼンテーションしたりする力が勝っています。これは米国の場合は学校で早い段階からスピーチを勉強し、人前で話す練習をしているからです。日本の学校教育でスピーチを教えているところは滅多にありません。

しかし30年前と違い、今の時代はパワーポイントなどのおかげで画像や動画を駆使すれば話は下手でもある程度見栄えがするプレゼンテーションができるようになりました。これが30年も前ならセミナーや会議などでは紙の資料をあらかじめ配っておくことはあっても、スライドなどを使って何かを効果的に説明することは難しかったのです。

その一方で、パワーポイントに頼り切ってしまい、肝心の話がまったく出来ていない人が増えてしまったのも事実です。特に日本の大企業に勤める偉い人の中には、単にパワーポイント資料の説明に終始している人も多くいます。資料だって大方、部下の人が作ったものでしょう。手元の資料を棒読みしつつ、画面に映しだされたスライドを説明するだけでは何の意味もありませんし、聞いていても楽しくありません。

かたやスピーチをちゃんと勉強し、トレーニングを積んできた人のプレゼンテーションはパワーポイントは図で説明することが必要な場合など最小限にしておき、話すこと、聴衆を引き付けることに力を入れます。おのずと質が高いプレゼンテーションになるわけです。

もしかすると、便利なツールが使われるようになったがために、一層プレゼンテーション力に差がついてしまったのかも知れません。