海外勤務が長い人からそんな話を聞きました。

中国も米国でも転職が当たり前の世界です。1つの会社に30年務める日本と違い、1-2年ですぐに転職する人が沢山います。

すると、担当者がじっくりと腰を据えて何かを学んだり身に付けることがありません。会社としては、大切な仕事を担当者に教え込み、その担当者独自の技量に任せることができくなります。「この事務処理は田中課長に任せればいい。」とか「田中課長がすべて知っているから。」とかいう状態は極めて危険です。田中課長が辞めてしまうと、誰も何もできなくなってしまいます。

一方、多くの人が長期的に勤めている日本企業では、社内の職人が沢山います。その会社のその業務を専門的にやる人です。他の人が真似できないようなスキルを身に付けているのです。その業務に関してはその人に任せればいいので、高額のシステムを買って機械化したり、マニュアル化したりする必要もありません。またその人も機械化されてしまうと自分の仕事がなくなるので反対するでしょう。となると、機械化することができなくなってしまいます。

今の日本企業には、実はこのような状態が沢山あります。同じメンバーが長年勤務してベテラン化し、一つの流れが固定的なノウハウとして確定していれば、それをわざわざシステム化して変革する必要がないと思ってしまうのです。

日本のシステム化が遅れている理由はこんなところにもありそうです。