東京の街中にはインバウンド観光客が過去最高に増えています。しかしなぜか、私が学生時代にやっていたような、登山用の大きなリュックサックを背負って旅行している人をほぼ見なくなった気がするのです。それに代わって旅行客のほぼ100%がキャスターバッグを持っています。

大体、10代~20代での長期旅行といえば貧乏旅行が定番でした。なので、タクシーやレンタカーを使うことは考えられず、バスや電車などの交通機関、あるいは10km未満の距離なら徒歩が基本でした。田舎でなく大きな都市と言えども道が悪いところがあるし階段も多いため、写真のような登山用リュックサックが便利だったのです。これなら混雑した街中や電車の狭い通路だって歩きやすいし、階段で苦労することもありません。歩きながら地図やガイドブックを見るためには、やはり両手があいているスタイルが便利です。

そしてユースホステルなどの若向けの安宿に行くと、10人中8-9人がこのスタイルなのです。さらにこれを背負って街中を歩いていると、なぜか妙な仲間意識が湧いていたような気もします。今思えば、これが当時のファッションだったのかも知れません。

最近では、そういう安宿すらなくなってきています。それに代わってあるのは、「エアビー」(Air B&B)に代表されるような民泊のオンランネットワーク。あるいはネットならではのダイナミックプライシングによるホテルの激安セールです。また、移動の手段も日本以外ではアプリを使った配車サービスでの相乗りが増えてきているのでしょう。地図だって、片手でスマホを操作するのが一般的で、両手をあけておく必要はなくなりました。

さらに街中もバリアフリーが増えてきて、階段が減ってきています。都心であれば多くの道がキレイに舗装されています。

そうなるとキャスターバッグで問題なく歩けます。つまり、バックパックを使う必要がないのです。

ネットの進化、サービスの進化、街中の進化に伴い、若者の旅行スタイルも変化してきているのかも知れません。