もう20年位前の話です。当時仲良しだった、ある日系アメリカ人はひいおじいちゃんが日本人であるため苗字が日本語名なのですが、生まれ育ちとも米国で、日本語は何とかしゃべれる程度のレベルでした。
ところがですね…名前が日本名のためか、その程度のレベルでも米国本社の人から見ると彼は日本語が完璧で、日本のこともネイティブレベルで熟知していると思われてしまいます。でも日本にはまだ数年いるだけですし、実際はほとんど何も知りません。その彼が本社から任されて、日本のお客さんと話をしていても、ビジネスレベルでは会話は成り立たず、その上に日本で生まれ育ったわけではないので、日本の常識的なこと、ビジネスマンどころか、普通の人でも当たり前と思っているようなことも理解できていないわけです。お客さんから見ても「なんだ、この人。非常識だ。」と思われてしまいます。
いつもそんな感じで、本社とお客様の間に入り、すごい板挟みに遭ってしまいます。
もう一つ別の例では日本語がネイティブレベルにうまいヨーロッパ系の友人。彼も海外で生活しているときに日本語を覚えたものの、日本で生まれ育っているわけでもなく、社会人になって何年も経ってから日本に来ているため、当然日本的な一般常識はわかりません。
ところが日本語があまりにもうまいので、お客さんにしてみると彼は日本のことを知っていて当然のように勘違いされてしまいます。すると、色々なすれ違いが起こってしまいます。お客さんからすれば、この人は何でなんでこんな常識的なことがわからないんだと思われるのですが、日本語が上手なだけで日本で生まれ育っていないのだから、日本的な常識を何も知らないのは全く仕方ないことなのです。
私にしてみれば、そのレベルでバイリンガルなのはとてもうらやましいことですが…彼らは彼らなりの大きな苦労があるものです。