大阪の街を歩きながら、ふと、私が銀行員一年目の時に一日研修で来た大阪にある支店のことを思い出しました。
当時私が勤務していた東京の支店は(良い意味で)常に高度な緊張感があり、四六時中ピリピリした雰囲気が職場内にありました。雑談をすることもなく、全員が寸秒を惜しんで仕事をしていたのです。本当に「1秒惜しんで」という表現がぴったりで、小さな動きでも無駄なことをしないように厳しく指導されていました。
その一方、一日研修として派遣してもらった支店は対照的でした。職場内がとても和やかで家庭的な雰囲気があり、のびのびと仕事をしているように感じました。(少なくとも私の目には、そう映りました。)
そしてそこのマネージャーが私のことを見て、「君は、さすが東京の大型店に配属されているだけのことはある。一年目でも、とてもしっかりしてる。」と褒めてくださったのをよく覚えています。(よく覚えているくらい、私が褒められる事は稀だったわけです…。)
考えてみたら、実は私が優秀だったのではなく、その当時、その厳しい環境にいたから自動的にそうなっていたのでしょう。いろいろな意味でその数年はとても良い経験だったと記憶しています。
それから三十数年。
今、日本の会社で私が当時いた職場のような厳しい仕事をしていれば、半分ぐらいが一瞬で辞めてしまうに違いありません。いや、その前に今の労働法、その規制、マスコミなどで叩かれることも間違いないでしょう。
時代が完全に変わったのだから当然です。
ただ、ふとその時のことを思い出し、今の働き方改革、ゆとりの世代などが、日本の将来にとって本当に良いことなのかと考えてしまうこともあります。