ちょっと懐かしい言葉かも知れません。本来の意味では最近使われなくなりましたが、比ゆ的に使われることは時々あるようです。

ネット以前の時代、音楽を聴くのはCDが定番だった頃、CDのジャケット(つまり外装)だけにひかれて中身を知らないまま買うことを「ジャケット買い」、通称「ジャケ買い」と呼んでいました。自分が好きなグループや有名ミュージシャンなら良いものの、まったく知らないミュージシャンのCDを見た目だけで買うのはかなり勇気が必要だったと思います。博打とまったく同じです。でもそれにより、自分が今まで知らなかったものや、予想外のものと出会える楽しみがあったわけです。

今の時代、音楽に関してジャケ買いは(ほぼ)ないでしょう。聞いたことがない曲でもネットで簡単に見つけることができますし、Appleミュージックなどで試し聴きしたり、1曲だけ試しに買ってみたりすることも可能です。いや、その前に口コミなどをチェックする人も多いでしょう。

音楽以外だって同じです。カバーが面白そうだからという理由だけで中身も見ずに小説を買ってみたり、パッケージが美味しそうな食品を買ってみたり、ラベルがキレイなワインを買ってみたり…というのは、いずれもジャケ買いです。そして「ジャケットの印象通り、面白い小説だった。」とか、「予想に反してイマイチだった。」とかいうのも楽しみの1でした。

何でもネットで事前に調べるのが当たり前になった今、ふとジャケ買いの楽しみを懐かしく思ったのでした。

情報過多の時代、あえて何も調べずにジャケ買いしてみるのも面白いかも知れませんね。