以前も書いたように、米国系のホテルに泊まると必ずと言っていいほど後日メールでアンケートが送られてきます。大抵は3分程度で回答できるもので、全体的な評価からフロント、部屋、レストランなどの設備からサービスに至るまで、10項目くらいに渡って聞かれますし、「印象に残った担当者は?」と問われて(出来る限り)名前まで書くように求められます。
ホテルどころかレストランやカジュアル服の店舗までアンケートがあるのは驚きます。もちろん配車サービスや民泊などのネットサービスも同じです。
明らかに社員の評価に使われているわけです。ここに名指しで高評価が書いてあれば、その人は昇格候補になるのでしょう。反対に名指しでクレームが書いてあれば、厳しく罰せられるに違いありません。日本企業と違い、「良ければちょっと褒められて悪ければ怒られる」というレベルではなく、「良ければ昇格、悪ければ降格、最悪ならクビ」という厳しさなのです。
そのためか、どこもスタッフの人たちは不気味なくらいニコニコしていて、人によっては自分の名前をリピートしたり、日本式に名刺を手渡したりしてきます。まあ受ける方としては悪い気はしないので良いのですが。
さて。
先日用事があって欧州に行った際、経由したヘルシンキの空港でのことです。前回行ったときに入国審査の質問が多く、とても無愛想で怖いイメージだったのに、今回は全員が気持ち悪いくらいニコニコしていて好印象だったのです。変革したのかな…と思いきや、入国審査を出たところで声をかけられて納得。
第三機関によるアンケート調査があったのです。
制服を着てIDを持ったおじさんが、「アンケートを任意でお願いしたいのだけど、3分もらえるか?」と言ってきました。そして(当然)紙のアンケートではなく、QRコードを提示されて自分のスマホで読み取り、回答するように促されました。初めてのことなので、快く引き受けて、回答してみました。

一般企業や店舗などと同様、主に接客態度や待ち時間などサービスの質を細かく問うものでした。
しかし…入国審査といえば役所です。それがサービス向上のためにアンケート調査をやるなんて、日本で考えられますか? いや、日本では役所どころか民間企業だってサービス向上のためにアンケート調査をやるところは少ないでしょう。
徹底した信賞必罰によりサービスの向上だけでなく、生産性の向上も目指しているのだと思います。
日本の経済発展が他の先進国と比べて大きく停滞している理由はこんなところにもありそうです。
