先日書いた、極端にへりくだるようなスピーチが海外で失敗するという話に関連するかも知れません。

実際にあった話です。

ある非常に大きな会社の社長さんが米国子会社を訪問し、大勢の現地社員の前でスピーチをする際に日本の本社で取り組んでいる経費節減について語りました。

「冷房の温度は28度に設定、昼休みはすべて消灯、ペンはインクが無くなるまで、鉛筆は持てなくなるまで使う、移動は役員も電車を使っている。このくらいの徹底した節約が大事だ。」

すると、多くの社員が大きく失望し、辞めてしまった人も少なからずいたということです。

これ、わかるような気がします。
日本には物を大切にすることや節約が美徳とされている文化があります。社長がこういう話をすると、「社長はコスト意識が高いんだな。私たちも気を付けよう。」とか、「ここまでの節約に社長が自ら取り組んでいるんだ。私たちも頑張ろう。」とか思うでしょう。あるいは身近な人なら「またケチ話が始まった。こればっかりだ。」とスルーするかも知れません。

一方、米国は日本ほど節約意識が高くありません。物を大切にするという文化も希薄です。その文化の中で徹底した節約の話をしてしまうと、「会社の財務はそこまで危ないのか。」と思われてしまいます。

また、大企業の社長からは長期ビジョンとか、大きな目標、将来の夢などを聞きたかった人も多かったはずです。そこでこんな節約の話を聞いたのでは、がっかりしてしまいます。

文化の違いを理解していないアピールは大きな失敗につながるものです。