米国ナイキの役員をやっていた大前研一の話で聞きました。

ナイキがまだ米国国内のブランドだった時に海外戦略を立てるにあたって、ナイキのブランド名が問題になりました。

「NIKE」と書いてあれば英語圏では100%「ナイキ」と発音されますが、ヨーロッパの多くの国では「ニケ」という発音になってしまうのです。日本語でローマ字読みすると同じく「ニケ」になってしまいますね。

そこでナイキの人たちは、これを機会に名前を変えてしまうか、スペルを変えるか、英語圏と他言語圏で使い分けるか…などを話し合ったのでしょう。いずれにしても、ベストな方法はありません。

その中でマーケティング担当役員が、「アルファベットを使わず、このロゴを『ナイキ』と発音するようにすればいい。」と提案しました。

確かに…「NIKE」というアルファベットではなく、あのナイキのロゴを英語でも他言語でも「ナイキ」と読むように広めれば、すべては解決します。

そして現在に至ったわけです。
今、世界中のどこに行ってもあのロゴを見れば全員が「ナイキ」と発音するでしょう。

大手広告代理店がやるように、芸能人を使ってテレビコマーシャルを作ったり、渋谷に大きな看板を置いたり…というだけがブランディングではありません。

まさにこれこそが、ブランディングの神髄だと私は思います。