日本でキャリアアップという言葉*が浸透してきました。公的な制度で「キャリアアップ助成金」というのがあるくらいです。

(*キャリアアップは和製英語。正式はcareer advancement、またはcareer development。)

助成金の名前で使われている意味としては、パートや仮採用などのスタッフを正社員として採用し直すことを言いますし、概ねその意味で使われることが多いようです。

また、会社の中で課長に昇格したり部長に昇格したりすることもキャリアップと呼ぶこともありますが、その場合はどちらかというとストレートに「昇格」という方が多いと思います。

いずれも日本の場合は同じ企業に永続的に勤めるということが前提としてあります。

一方、数年ごとの転職を前提としている欧米企業なら、キャリアアップ(career advancement)は転職先で同じ職種の高い地位に就いたり、給料が上がったりすることを意味します。経理のスペシャリストであれば、最初の会社で見習いとしてスタートし、次の会社でマネージャーになり、次の会社でディレクターになるのがキャリアアップでしょう。それに伴い、当然給料も上がっていきますし、その経歴と実績を持って次の会社に行けば、さらにアップが見込まれるわけです。

米国のドラマなどを見ていると、何かが起こった時に「自分のキャリアが台無しになる」とか、出世欲が強い人のことを批判して「あの人があんなことをやっているのは、自分キャリアを築きたいだけ」みたいなセリフが頻繁に出てきます。少しでも実力をつけ、少しでも良い実績を残し、会社や組織にかかわらず自分を引き上げたいという強い意志がその根底にあるのです。

日本文化とは異なる点です。