今のインターネットの世界では、使っているうちに自分の興味や関心ごとに合わせた情報が自動で出てくるようになるため、それが世の中の常識であるかのように錯覚してしまうことがあります。これを「エコーチェンバー現象」と呼んでいます。

例えばスマホのニュースアプリを見ていて、自分が好きなアイドルのニュースを何度もクリックして閲覧していると、そのうちに同じアイドルに関連するニュースばかりが出てくるようになります。そしてさらに、そのアプリだけでなく、同じスマホ上の別アプリ、SNSなどを見ている時にまで、そのアイドルに関する記事が出てくるのです。そうすると、そのアイドルが日本中で話題になっていて、注目されているように思えてきます。でも実際は、ほとんど注目されていないアイドルだということもあり得ます。

またSNSで何か情報を発信すると、同意見の人から多く賛同を受けることがあるでしょう。そしてその人たちとつながると、さらに同じような意見に日々接するようになります。同じ意見を持つ人たちのグループに入ることもあるかも知れません。すると、まるでその意見が世の中の常識であるかのように錯覚してしまうのです。

リアルの交流と違い、ネットの場合は同じ意見の人、自分が関心を持つ情報、自分が正しいと思う考え方が自動で出てきますし、それのみを選んでみることが出来てしまうため、違う思考や関心がないことと触れる機会が極端に少なくなってしまいます。

根拠がないデマがネット上で流れ始めると、一気に広まってしまい、それ以外の情報が見えなくなってしまうこともあるわけです。

ネットの特性を正しく理解し、ネット以外からも情報を得たり、リアルに人と交流する時間を出来る限り増やすことは、今の時代に必要不可欠なのです。