大阪万博の政治的な話、開催の賛否については置いておいて。
海外取引の多いビジネスマンの一人として、色々と考えることがあります。
1.海外から見た日本の魅力に関する変化
1970年の大阪万博の時はこれから成長が期待される国として日本が注目されていたのだと思います。しかし今の日本は高度成長を経て成熟期、見方によっては衰退期です。経済成長の鈍化、急激な円安は、観光先としての魅力は高いものの、投資先としては魅力が低くなっていることは明白です。厳しい労働規制や高い税金、不安定な社会保障なども海外から見ると不安要因になっているに違いありません。
2.「万国」博覧会という意義の変化
1970年の時と違い、交通機関の急速な発展により、世界は小さくなっています。当時は海外旅行なんて庶民にとっては夢の世界、多くの人にとって「死ぬまでに一度」というレベルでした。海外の文化を肌で感じて知る機会がなかったのです。そのため、身近で「海外」を体験できる万博はとても魅力的でした。今の時代、大半の人にとって海外は身近な存在です。アジアはもちろん、アメリカ本土、欧州各国だって行こうと思えばすぐに行くことができます。当時は珍しかった輸入品だって身の回りにあふれています。もちろん海外の情報、海外の文化を瞬時で知ることが出来るネットの存在も膨大です。
良いか悪いかの問題ではありません。海外の人たちが考える日本、日本から見る海外のこと、「世界」「万国」「異国」というコンセプトが50年前とは大きく変化していることは確かです。これを機にこれらについて考え直さないと、今後のビジネス戦略に大きな影響があると思います。