日本で大人気の日本酒がニューヨークでも生産されることになりました。数年前から予定されていたことですが、コロナ禍で延期になったそうです。

さて。
アメリカで生産された日本酒がどのくらい受け入れられるでしょうか?

まず現地の日本食レストランは喜んで買ってくれると思います。それから、アメリカでの販売価格が日本製より低ければ、現地にいる日本の人たちも買ってくれるでしょう。米国の関税は知りませんが、日本から輸入されたものは輸送費に加えて高い関税が加算されているのなら、現地生産の方がずっと安くなるはずです。

その一方、日本に米国から日本酒が輸入されることは難しいはずです。逆の場合と同様、輸送費と関税に加え、今の為替レートや物価の差を考えると、米国生産のものを日本に持ってくるのは極めて不利です。

それから…心理的な問題があります。恐らく日本にいる多くの人は、日本以外で生産された「日本酒」は日本酒と認めたがらないはずです。そういえばフランスの友人がフランス以外で作られたものは「ワイン」とは呼べないと言っていたのと同じです。イタリア産、スペイン産ですらワインとは認められないと言っていました。ドイツの人たちのビールに対する想いも同じです。日本では、「日本産のワインも美味しい」「ビールは日本製が一番」と言ってみんなが喜んで日本産ワインやビールを飲んでいるくせに、日本酒に関しては日本以外を認めようとしません。おかしなものです。

他の国の人たちはどうなのでしょう。イタリア産やスペイン産のワインが年月をかけて普及したように、アメリカ産の日本酒も世界で受け入れられるのでしょうか?

いずれにせよ、元々の原産国以外で製品を普及させるのは、それなりの年月とマーケティングが必要なものです。