先日新規オープンしたイタリアの田舎料理を楽しめる店で食事をしながら、ふと考えました。

常に難しい問題です。

本場イタリアから来たシェフが作る料理はイタリアの食材やスパイスを多用しています。ボリュームも多めです。まったく日本に迎合していない本格派で、まるで現地で食べているような気分にさせられ、私は大満足でした。ところが、一緒に行った友人は、残念ながら口にあわなかったようです。

これだけ世界中の料理が集まる日本でも、大抵は日本向けにアレンジされているため、多くの人が本場の味には慣れていません。なので、完全に現地の味を再現して出してもヒットするのが難しいはずです。

味だけでなく量もしかりです。日本は会席料理や寿司と同様、少しずつ多種類出す文化があるので、ボリュームがありすぎる料理も敬遠されます。そもそも欧米、中国では残すのが当然なので、食べきれないほどの量でもいいのです。それをそのまま出すと、日本では嫌われます。

これは料理に限ったことではありません。すべてに共通します。

1970-80年代に、米国の自動車メーカー各社が日本のエネルギー事情、道路事情を無視し、大型で燃費が悪い左ハンドルの車を売ろうとして失敗したのは有名です。右ハンドルにされたドイツの小型車が一番売れたわけです。

ITも同じです。日本語対応されていないものは売れません。マイクロソフトだってアップルだって英語のままだと日本では普及しなかったでしょう。国内でのサポートも欠かせません。

ネットサービスも同じです。日本語化されていないもの、日本語でのサポートがないものは、まず売れません。法律面、文化面など、いろいろな面での日本対応も欠かせません。

「これが本場のものだ!」と押し通すのも一つの戦略ですし、あえて本場のものを好んで選ぶ人もいます。しかしそれは例外であり、かなりの高確率で失敗します。

やはり日本で売りたいのなら、日本に合わせることは不可欠です。