なぜか日本で普及しない言葉や概念の一つに「リカレント教育」があります。

リカレント教育とは学校教育から一旦離れて社会に出た後も、それぞれの人の必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すことです。日本では仕事を休まず学び直すスタイルもリカレント教育に含まれ、社会人になってから自分の仕事に関する専門的な知識やスキルを学ぶため、「社会人の学び直し」とも呼ばれています。(政府広報より)

これが日本でなかなか浸透しないのはなぜでしょう?

私が思うに、まず言葉の問題です。「リカレント」という言葉自体が発音しにくく、なじみにくいのです。小説や映画でも同じですが、タイトルがしっくりこないだけで売れ行きが大きく下がってしまうものです。

そして、会社に入ってから再び学び直すということも日本の典型的なワークスタイルに合っていません。日本の場合は労働者を過剰なまでに保護する終身雇用に近い制度があり、多くの人が1つの会社に生涯勤める傾向が強いものです。そのため、一度会社に就職し、その会社に勤めながら大学に通い直して新しく勉強したり、新しい資格を取ったりする必要性が低いのです。そこで力を付けたところで新しい会社に再就職したり起業したりする人は稀ですし、社内での人事は多くの会社で上司や人事部が全権を握っているため、せっかく取った資格や学んだことが何の役にも立たない可能性も高いのです。

米国では50代、60代、またはそれ以上の年齢の方が大学に通って勉強しているのとは対照的です。

こんなところにも、日本の生産性が低い要因がある気がします。