私が以前勤めていた外資系企業の日本支社長がよく言っていたことです。日本の外資系企業に勤める日本人社員は外資系企業と日系企業のいいとこ取りをしようとするヤツが多いとのことです。

外資系企業、つまり(大抵は)米国か欧州の主要先進国に本社がある外資系企業の日本支社では、半分欧米のカルチャーで半分日本のカルチャーがあります。

自由と責任のバランスが良い例です。大半の米国企業では、日本の企業より自由な文化があります。その代わり、仕事をちゃんとやっていないと簡単にクビになります。成績を上げるために毎晩遅くまで働いている人も沢山います。一方、日本企業は文化的にも自由が利かない反面、世界的にも珍しいくらい厳しい労働法により労働者の雇用が保証されていて、滅多にクビになることがありませんし、今の時代、残業も少ないでしょう。日本の外資系企業に勤める社員の多くは両方のいいとこ取りをし、米国式に自由勝手にやった上に、残業も無く、多少のことではクビにならないというわけです。

さらに分かりやすい例は休みの取り方です。例えば「ウチはフランス企業だから有給は100%完全消化する」といいます。それはもちろん日本の法律上も正しいから良いのですが、さらに「ウチは日本にあるのだから、日本の祝日は100%休む」といいます。しかし日本は有給が取りにくいカルチャーだからこそ国としての祝日を増やして休みを奨励してきた背景があります。一方フランスなど欧州の国の大半は日本より祝日が少ない代わりに有給を100%消化できるものです。そこで日本の外資系企業が両方のいいとこ取りをすると、世界的に見ても希なくらい休みが多くなってしまいます。

外資系企業に勤めるのであれば、その裏側にある厳しさも知っておかないと、長期的には自分が損することになるものです。