会社の飲み会自体が激減している中、「今日は無礼講で」という言葉も聞かなくなったかも知れませんが、まだ大企業などで偉い人が参加する飲み会では、「今日は無礼講で」があるようです。
無礼講という言葉は古代の日本でもあったようです。上下関係なしに、仲良く楽しくやろうという意味です。
そこで、宴会の始めに偉い人が、「今日は無礼講で行きましょう!」と言ったら、本当に上司とため口をきいたり、羽目を外して大騒ぎしていいかと言えば…もちろん、違いますね。当たり前です。
偉い人が無礼講と言う場合は、「職場ではなのだからあまり堅苦しくならず、リラックスして楽しみましょう」という程度の意味です。決して上下関係を一切取り払って友達として飲みましょうという意味ではありません。その根底にある目的は距離を縮めてチームを結束したいとか、仕事の悩みなど本音を聞きたいとか、そんなところです。つまり、これも形を変えた仕事の一つなのです。
これは海外の方々が理解しがたいとする、日本らしい建前と本音の一つですね。
もちろん日本以外の国でも建前と本音の文化があるところもあるでしょう。でも当然ですが、それぞれの国や集団、人によって建前と本音の使い方やレベル感は異なります。
他のことと同じですが、「日本ではこうだ。海外ではこうだ。」と二通りしか考えないのは論外ですが、「この国では、こうだ。」と決め込んでいくのも失敗の元です。数千万人もいる一国の国民がすべて同じであるわけはありません。
国、団体、人、状況により、建前と本音を常に慎重に判断することが、海外ビジネスでは特に重要です。