東京商工リサーチが8月に行ったアンケート調査の結果*によると、「日本の景気を後退させる」と回答した企業は全体の86%に達したそうです。
まあ当然の結果ですし、もちろん私も「はい」と回答しています。しかし逆に見ると、14%もの企業がそう思っていないことは意外です。日本にとって最大の輸出相手国である米国が15%もの関税を課すというのはどう考えても日本経済の足を引っ張るでしょう。自社への直接的な影響がないにせよ、日本経済の屋台骨である自動車産業を始めとした製造業が打撃を受けることは明白であり、それによって日本経済全体に負の影響があることは避けられません。
一方、アメリカではすでに物価が大幅に上昇しており、景気が悪化しています。「米国がくしゃみをすると日本も風邪をひく」と古くから言われているほどに密接なつながりがあることを考えると、これも悪影響があることは明らかです。
また興味深いのは、その対策として50.1%の企業が法人税の引き下げを挙げていることです。米国の関税と日本の法人税は直接的には関係ないのですが、日ごろから法人税を負担に思っている企業が多いことが表れています。残り半分の企業は…もしかしたら赤字企業や累積赤字がある企業で、法人税があまり負担になっていないのかも知れませんね。その分、助成金を期待する企業が38.6%あるわけです。助成金は長期的な解決策にはならないものの、とりあえずトランプ政権の4年間を乗り越えたいという考えなのかも知れません。
(*東京商工リサーチ2025年8月「トランプ関税」に関するアンケート調査)