「刺さる」という言葉を多くの人が最近よく使います。

私たちの世界では、広告文章を考えたり、ホームページに載せるキャッチフレーズを考えたりするときに、見た人の「心に刺さる言葉」と言うような表現をします。もちろん意味としては相手の心に直接伝わり、印象が強いというようなことですね。この意味で、「刺さる」という表現はまさにピッタリきますし、だれにとっても分かりやすいと思います。

ところがですね…。

気をつけなければいけないのは、「刺さる」という表現はやや表面的であり、短期的であり、短絡的な面があります。なので、キャッチフレーズが「刺さる」と言う分には良いのですが、会社が社運をかけて出した商品やサービスそのものが「刺さる」と言ってしまうと、それはあくまでも表面的なものであり、本来の目的であるユーザの利便性向上や、生活向上などといった本来の意義が薄れてしまう気がするのです。

さらに商品だけでなく、会社の事業計画や会社のミッション、方針等が「刺さる」と言ってしまえば、かなり違和感があるでしょう。これらは本来「刺さる」と言うレベルではなく、もっと広く、もっと長期的な視野で考えなければいけないものだからなのです。

もちろん政治家の政策が「刺さる」というのもおかしな話です。一国の制作なら、さらに上のレベル、100年後の日本や世界平和実現までを見通さなければいけないものであるはずです。「刺さる」政策なら、場当たり的な、選挙対策的な政策だと思われてしまいます。

便利な言葉ですが、気をつけて使わないと低く見られてしまう危険があります。