羽田空港の駐車場が大混雑し、特に週末や連休は満車で入れない日が多い問題の対策として、先日、駐車料金が2倍近くに値上げされました。当然ユーザ側は「庶民を馬鹿にしている。」「他に対策は無いのか?」などと大いに炎上しました。私もユーザの1人として、そもそも設計時点で将来の需要を大きく見誤ったこと、それに対して何ら対策も取ってこなかったことを大変残念に思っています。
その一方で、経済学的には値上げは正しい対応といえます。供給量が一定であるのに対し、需要だけが伸びていれば、価格が上がるのは当然です。そして(道徳的に良いかどうかは別として)理論的には供給と需要が一致するところで価格が決まるので、ちょうど満車になるかならないかの状態になるまで価格を上げるのが正解です。現時点では、値上げしたにもかかわらず満車が続くようなので、まだ値上げする余地があるということです。
極端な話、駐車代が一日一万円になれば需要は大きく減るはずです。おそらく常に満車という状態もなくなるでしょう。しかし年収が1億円もあるような大企業の社長さんなら、一日一万円でも駐車場を使い続ける可能性が高いはずです。このレベルの人なら電車に乗る時間を30分節約するために一日一万円払ってでも駐車場を使う価値があるとわけです。逆に時給千円で働いてる人は一万円払って電車に乗る時間を30分節約する必要はありません。
ただし、これはあくまで理論上の話です。当然ですが、実際には数字だけで物事は決まりません。道徳論、社会論、政治論、いろいろな要素が絡みます。
そんな中で、余分な要素を取り払い、ふと経済学の理論だけ空想してみるのも楽しいものです。